低圧紫外線ランプの長期連続運転の試験
システム概要
低圧紫外線ランプ650W×2本(L=1,500mm)を2セット取り付けた。(内1セットは,自動洗浄機付き)ランプは,既存の塩素混和槽を改造し,"横型タイプ,水平設置,開水路"方式で,設置した。照射時間(処理水に約10秒間照射),目標大腸菌数(30個/ml),
放流水量のモニタリングを行い,放流水量(処理水量)に応じて,可変的に紫外線照射量を制御している。最大処理量から,インバータによる電力の低減を図り,処理量が半分になったときに,1/2を消灯する。(使用電力の低減,運用コストの低減。)
また,消灯するランプを交互に制御することで,全ランプあたりの稼働時間の均一化を行い,交換時期を同時にすることで,交換経費の低減をしている。標準交換期は,1.5年であるが,処理水量の変動によるランプの消灯により2年以上を想定。
負荷電力に対する所定の照射が行われているかモニタリングし,滅菌状態の確認を行い,照射障害やランプの交換時期を警報するシステムとしており,日々のメンテナンス要員による作業の低減を図った。(異常を知らせる,ランプの点灯まで,何もすることがない)
<現在の四万処理場の滅菌システム>
固形塩素を処理水に接触させ,混和槽を経て,放流堰で計量(投げ込み式水圧計)し,河川に放流している。メンテナンス人員は,特定環境保全公共下水道施設2箇所で3名で行っている。固形塩素の投入および混和槽の清掃が,日常業務として行われている。
※(株)日本フォトサイエンスによる実験施設,1998年6月より
消毒装置の特徴等(参考)
項目 |
塩素消毒(固形塩素) |
紫外線消毒 |
オゾン消毒 |
殺菌原理 |
塩素は,細菌の細胞を変質させたり,酸化させたり,生物に強い毒性をもつ。 |
紫外線は,DNAに作用し,DNAの結合を破壊する。 |
オゾンは,強力な酸化力で,細胞壁を破壊する。 |
装置 |
固形塩素を接触させ,塩素混和槽で攪拌/滞留させ,滅菌する。装置は簡単で,安価。ただし,塩素混和槽の設置場所の確保が必要。 |
紫外線照射装置,制御盤により照射量を制御。稼働部分がなく,簡単な装置。(中程度に高価) |
オゾン発生器,反応槽,排オゾン処理装置等複雑な施設が必要。(高価) |
運転 |
放流水中の残留塩素濃度を一定値に保つよう,固形塩素の投入を調整。処理水量に応じた,細かな塩素濃度の管理は難しい。 |
処理水量,紫外線透過率,SS濃度に応じ照射量の初期設定を行い,紫外線モニターにより一定の照射量を維持する。(自動制御) |
放流水中の残留オゾン濃度を一定に保つよう,オゾン発生量を制御。(自動制御) |
取扱者の安全性 |
固形塩素なので,注意して取り扱えば特段の危険性はない。手で直接触れないようにする。 |
紫外線を直接浴びると,雪目や極度の日焼けになるので,装置のふたをする。通常は,暴露されていないので問題ない。 |
オゾンは直接吸飲すると危険。通常は,排オゾン処理されるので問題ない。 |
環境負荷 |
有機塩素化合物を生成する。残留塩素が,河川の魚類等を危険に曝す。 |
副生成物,残留性がないので,河川への影響はない。 |
過酸化物を生成する。残留オゾンが問題になる場合もある。 |
特徴 |
補機が少なく設備が簡単・安価。
残留塩素が,藻類の発生を押える。
塩素に対する耐性がある微生物がある。 |
処理水が,河川の環境に変化を与えにくい。
自然光による破壊DNAの再結合がある。
大きさ種類によっては,殺菌できない微生物がある。 |
ウイルス除去率が高い。
脱色,脱臭の効果かある。 |
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